中国で駐在員

30代男、未婚、2016年から中国駐在(企業派遣)

ラオバンという到達点-中国人の資産運用事情④-

中国駐在4年目のカンクローです。

 

これまで3回に渡り、中国人の資産運用事情について書いてきました。

 

預金金利は日本の300倍-中国人の資産運用事情①- - 中国で駐在員

「毎日もらえる」が当たり前-中国人の資産運用事情②- - 中国で駐在員

都市部不動産はまだまだ上がり続ける-中国人の資産運用事情③- - 中国で駐在員

 

計画性はありませんでしたが、今回の4つ目の記事で資産運用事情の大まかな説明は書ききれそうです。

 

3つめの記事の、「不動産投資」の時点で、見込み年利は100%にも達すると書きましたが、多くの中国人たちにとって、これはゴールではありません。

 

「老班(ラオバン)」という存在

大陸の商人魂がそうさせるのか、激しい競争の中でもがきくるしむ闘争心がそうさせるのかはわかりませんが、多くの中国人は、自分でビジネスを行い、自分で自分のお金を増やしていきたい、と考えている人が非常に多いです。

 

すなわち、中国人の中には、自ら経営者になりたい、サラリーマンというものは基本的にお金を稼ぎたいと考える人が安住する場所ではない、というのが一般的な考え方です。

 

そんな中国人が目指すのは、経営者を意味する「老班(ラオバン)」という存在です。労働法規があってないようなものである中国では、自ら投資し、労働者を使い、組織をマネジメントする側に立つことによって、莫大な搾取を行い、利益を上げることが可能になるのです。

 

飲食店は1年で総投資費用を回収

ラオバンが目指すのは、飲食店や衣類販売店、最近ではネット通販事業主であることが多いようです。

 

実店舗を構える飲食店の中には、みなさんもイメージしやすいような麺屋や北京ダック屋、広東料理屋、日本料理屋、韓国料理屋、西洋料理屋、パン屋、タピオカミルクティー屋、カフェ等様々です。

 

地域によっても差がありますが、大きめの町に店舗を構える時の投資資金は50万元(約800万円)~100万元(約1600万円)ほどと言われます。

多くの中国人は銀行などからオフィシャリーに融資を受けるよりも、親戚などからローカルな手段で資金を集め、驚くほど速いスピードで経営を開始していきます。

 

店を開くと決めたあと、1か月ほどで場所を選定し、工事を開始し、内装を整え、新規開店!となります。

 

ある親しいラオバンに聞いた話によると、うまくいくビジネスというのは、1年で投資分を回収するのが一般的である、それ以上かかってしまう場合はそのビジネスは失敗だったと言うしかない、とのこと。

 

つまり、2年目に突入しているお店はすでに投資分を回収し、純利益を増やしているような状態になります。回転に必要な資金が50~100万元とするならば、次年度以降も、同じような利益をコンスタントに生み出すことになりますから、年利は100%を軽く超えてきます。

 

ここまでくると、資産運用というより、立派な経営者になりますので、投資家と言えるのかもしれません。ただ、多くの場合は資金を用意した後は、実店舗を動かしてくれる方を雇って進めていくだけですので、ラオバンは何もしていない場合が多いです。

 

事業に失敗すると

店舗運営や個人事業は必ずしもうまくいくものではありません。必ず、一定数が失敗します。

 

ですが、多くの中国人は一回ビジネスが失敗したくらいではめげない方が多く、男性であれば出前配達員(日本でも普及してきたウーバーイーツのようなサービス)や個人タクシー運転手(中国では自家用車一台で始められます)等で、女性であればキャバクラでお金を稼ぎつつ、次のビジネス機会をうかがいます。

 

詳しい方もいるかもしれませんが、中国のキャバクラ(KTVと呼ばれる)では、地元でお店を開き失敗したという若い女の子がとても多いです。ろくに経営を学びもせず浅はかだなあとか、勇気あるなあ、と思ってしまいますが、彼女たちはそれなりの自信があってやっていたのでしょう。

 

借金を抱えた後には、大都市に出てきて、文字通り体を売って借金を返していくことになります。

 

22~28手前くらいの女の子が多いですが、借金も返し終わった後は、地元で不動産(おそらく自分で住むためのもの)を買いたい、なんてことをよく口にしています。

 

以上で、中国人の資産運用事情については大体網羅してきました。

より具体的な内容については、今後も別の記事で書くことがあるかもしれません。

 

ちなみに、これまでの記事で紹介してきた投資信託や不動産投資については、外国人には一定の制限があります。

銀行の定期預金であれば、外国人でも受け付けているようです。