中国で駐在員

30代男、未婚、2016年から中国駐在(企業派遣)

中国と日本の間で生きる人々~これからは中国に詳しい日本人が求められる~

中国で駐在5年目のカンクローです。

 

ブログの宣伝もかねてツイッターアカウントも作っているのですが、改めて、いろんな人が、日本と中国の間で生きているんだなあと気づかされました。

 

①中国コミュニティに入り込んでいる日本人、

②中国市場で何かを模索している日本人、

 

そして、

 

③日本コミュニティに入り込んでいる中国人、

④日本市場で何かを模索している中国人、

の数には相当なものがあるように感じられます。

 

数にして多い順にみると、③→④→②→①という感覚でしょうか。

 

今回は久々に、中国に駐在している会社員として見えてくる、中国と日本の間で生きる人々の種類に関し、感覚のようなものを書いていきたいと思います。

 

中国コミュニティに入り込んでいる日本人

中国と日本の間で生きる日本人の中で、圧倒的に多いのは、日本の会社から派遣された駐在サラリーマンだと思われます。数年の任期で中国の主要都市に滞在している場合が多く、また中国語もあまり話せない(たまに、すごくうまい人もいます)ので、駐在期間中も日本にいる時と同じように日本式の居酒屋やキャバクラに通い、日本人同士で作るクラブ活動(ゴルフとかテニス)に参加しています。

 

この意味で言えば、「中国コミュニティに入り込んでいる」というのはむしろ語弊があって、「中国に来ている」くらいの人と言えます。

 

中国市場で何かを模索している日本人

これから中国でビジネスを始めようとしている人、個人経営の買いつけ商のようなビジネスで、日本と中国を行き来している人、中国で学校に通っている人、中国の会社で雇われている人等です。

 

むしろ、こちらの方が「コミュニティに入り込んでいる」という要素が強いかもしれません。

日本企業の駐在制度が、このあたりの区別を逆転させてしまっています。大きな企業のバックアップを受けて、大きな金額を動かす日本経済の先鋒のような方々(駐在員)が、実は中国コミュニティに全く入り込めておらず、個人で動いている方の方が、よっぽど中国に溶け込んで中国を理解しています。

 

記事の後半でも述べますが、今後日中関係の中で生きる日本人のうち、この人たちの重要性は増してくると思います。

 

日本企業(とくに大企業)は、こういった「日本社会から(ある意味)外れてしまった人」を異端視して、積極的に中国ビジネスの責任者として雇うとか育てるようなことをしません。

結果として、(外れているとみなされた)彼らは一人で生きていくか、中国企業の中で生きていくしかなく、彼らの能力がマクロな意味で発揮されることはほとんどないです。

 

対して、後述する、日本に根付いたり、日本語が使いこなせる中国人人材を、中国社会は「(中国社会から)外れた人」とはみなしません。転職市場においてアメリカ式のような実力主義が見られる、また、思い切った起業文化がある中国においては、こういったワンマンな自信家が重宝されます。

 

日本コミュニティに入り込んでいる中国人

日本は外国人に比較的簡単に永住権を認めていますし、日本の企業も積極的に中国人を雇います。また、日本の大学に4年間通った結果、日本語にほとんど不自由ない中国人の若者も多くおられ、そんな方は、日本の会社に入り、日本の社会に入り、日本人のコミュニティの中で人間関係を構築し、まさに日本と中国の社会を繋ぐようなビジネスを展開しているようです。

 

もちろん、私が生活したことのある広州や北京、上海にもそのような「日本通の中国人」が多くおり、日本企業や日本人個人に対してビジネス支援を提供しています。

 

それらの方々の優位性は、「中国語」という利点の上に成り立っているように見受けられます。

 

中国人の若者に、特に秀でた専門性(法律の知識、デザインの知識、ITの知識等)があるとは思えません。ある市場の中で生きて、勉強して、スキルを獲得していく中で、個別の分野の知識やノウハウの蓄積に、日本人と中国人との間で、大差は無いと思われます。

 

そのため、文字通り「中国語が(人並みに)できる」というところが、現時点で、上記で述べた「中国市場に入り込んでいる日本人」との差別化を生み出しています。

 

それほど、「中国語を中国人のように使いこなすこと」や「中国人と(分け隔てなく接することができるくらい)しっかりと人間関係を構築すること」は難しいのです。

 

この点については、中国社会が一般的に日本人(外国人)の雇用を認めていない、日本人(外国人)の定住を認めていないことも大きく関係しているでしょう。

 

日本市場で何かを模索している中国人

日本語があまりできないながらも、日本の市場に注目している中国人ビジネスマンや個人投資家は、最近増えてきています。

彼らと日本社会(日本市場)を繋いでいるのは、現状、③で指摘した「日本コミュニティに入り込んでいる中国人」が多いのですが、昔と比べて、徐々に②の「中国市場で何かを模索している日本人」の割合が増えてきている、また今後も増えてくると考えられます。

 

日本語があまりできない、日本に何か可能性を見出している段階の中国人は、お金の余った富裕層や大企業です。

 

彼らは、日本市場で何かをするのに、自分でどうしていいかわからないという課題や、自分では何もできないという課題があるため、それができる人を頼る傾向があります。

 

日本市場で何かを模索している中国人は、日本人と積極的にコミュニケーションを取ろうという態度がありますので、こちら(日本人側)の中国語や中国文化への理解が完璧である必要はありません。

彼らが(日本側)パートナーに対して期待していることは、ひとえに「日本市場に食い込む力」です。

 

③に挙げた「すでに日本市場に食い込んでいる中国人」は、若かったり、勢いだけで小規模ビジネスを支援する程度の印象が強いです。他方、中国人(企業)が日本市場に進出する過程に限定すれば、彼ら(日本通の中国人)は、日本人ほどには、日本人や日本企業からの信頼を得ているとはいいがたいのです。

 

双方に同じ現象がみられる

こうして双方の人的交流を分類してみると、以下のことに気が付くのかなと思いました。

 

中国経済の発展に従って、中国市場に着目することから得られる利益が増してきたため、日本企業がこれまで(日本語のできる)中国現地人を使いこなすことによってビジネスチャンスを得てきた現象と同じく、今度は、中国企業が(中国語のできる)日本人と協力することによって得られるビジネスチャンスというものが増してくると思われます。

 

中国市場は大きくなっていますが、気鋭の若者たちが個人として「中国市場への進出ならお任せください!」というビジネスを展開しようとしているのは、むしろ、かつて日本企業がイケイケだった時に求められた能力で会って、時代遅れなのであり、今後は、「日本市場へ進出ならお任せください!」という中国企業向けのビジネスをする日本人が求められているのかもしれません。

 

日本と中国の間でのビジネスを、日本社会や日本企業に有利なように発展させることができるかどうかは、まさに今、日本人人材と中国人人材のどちらが優秀であるかで決まってくるように思います。