「毎日もらえる」が当たり前-中国人の資産運用事情②-
中国駐在4年目のカンクローです。
前回に引き続き、中国における資産運用事情を説明していきたいと思います。
前回説明したのは、中国における普通預金、定期預金の利率が「日本に比べれば半端ない」ということでした。
そして、お判りの方も多いかと思いますが、そもそも、銀行に預けているだけで得られる利息が0.何%とか数%に達するということは、多くの人がそれをベースに多少リスクのある(といってもほとんどリスクのうちに入らないような)投資をし、より高い利息を得ているということになります。
以下では、その少し高めの利息を得られる中国の資産運用の現状について解説していきたいと思います。
「基金」と呼ばれる投資信託
まず初めに、投資信託があります。中国語では「基金」と呼ばれ、銀行や証券会社、不動産会社、大手グループ企業などから様々な投資信託商品が発売されています。
期間や利息にも様々なものがあり、例えば1万元(16万円)程度から投資でき、1日単位で利息収入を得られるものから、年単位で利息を得るものもあります。
もちろん、預ける期間が長ければ長いほど、利息は高めに設定されており、大手銀行などが提供し、1年後に利息が受け取れるタイプの投資信託は、年利5~8%で推移しています。
毎日利息を受け取れるタイプの基金というのは、日本ではあまりイメージが無いかもしれませんが、例えば、1万元を入金しておけば毎日自分の口座に1円とか5円とかが振り込まれることになります。
中国経済の信ぴょう性
いろいろな分析や批判がありますが、中国経済は日本経済規模の3倍とも4倍にまで成長していると言われた現在においても、毎年5~6%成長を続けている(ということになっている)ので、実態でこういう投資サービスがあることもそんなに不自然ではありません。
なぜなら、経済成長の波に乗って、多くの企業が現状維持程度の成長をしている(つまり成長をしていない)としても、資本力や資本価値が5~6%伸びていなければ説明がつかないからです。
よく言われる、中国の経済成長は共産党が作った数字に過ぎないとか、実体経済が伴わないでたらめなものである、という批判がありますが、そんなことは現場でどのようにお金が動いているかが証明してくれます。
市民にとっては、バブルでもなんでもよく、実際に投資によってお金が回収できれば、それは投資の価値があることを意味します。中国経済を批判する方等は10年以上前から中国経済の破綻の可能性を提唱していますが、現時点で、私が中国社会に生活していて、そのような歪みを感じたことはありません。
余額宝(アリペイグループ)
庶民にとってもっとも身近で最も有名な資産運用プラットフォームは、アリペイグループが提供している「余額宝」です。
日本の観光地などでも一部導入されているアリペイという電子決済ツールは、中国人の誰もが使っている電子決済ツールの一つです。
アリペイを銀行口座にリンクさせておき、支払いたいときにのみ銀行から代金が支払われるようにする方法と、あらかじめアリペイのアプリ自体に資金をチャージしておく方法の2パターンがあります。
資産運用に使えるのは後者です。中国人限定の機能になりますが、アリペイのアプリ自体に資金をチャージしておく方法の一つに「余額宝」というものがあり、そこにチャージしておけば、2021年2月現在の年利で、だいたい2%の利息が付きます。
たとえば、1万元(16万円)を余額宝にチャージしておくと、
1万元×2%÷365=0.54元(約8円)が毎日振り込まれるわけです。
毎日ですよ?信じられますか?
今皆さんが日本で普通預金して、半年に一度くらい「利息」が10数円振り込まれるのに感動している場合じゃありません。
もし32万円(2万元)程度をチャージしておけば
2万元×2%÷365=1元(約16円)
が毎日もらえるわけです。
10万元をチャージしておけば毎日80円です。ちょっとした貯金がある方なら、おにぎりとかカップ麺一つくらいの金額を、何もせずに毎日もらえることになります。
しかも、この余額宝のすごいところは、電子決済ツールのチャージですから、いつでもそのチャージしたお金が使えるというところです。
つまり、お財布にお金を入れている感覚と変わらず、いつでもお金が使える状態なのに、利息が複利で膨らんでいくというサービスなのです。
すこし資産運用の方法を勉強している方にとっては、恐るべきアイテムじゃないでしょうか?
仮にですけど、100万元(1600万円)もこの余額宝にチャージして日々の生活をしていれば、毎日800円が振り込まれてきます。中国の物価なら節約した食事を3食食べれる計算です。利息に土日祝日はありませんので、一か月に24000円以上です。
以前の利率はもっとすごかった
なお、この余額宝の利息約2%は、近年急激に下がってきている状態です。2018年頃の本サービスは、利率4%以上で推移していましたので、2%でもかなり保守的な運用をしていることがわかります。
なお、アリペイグループは現在、世界で最も潤沢な資金を蓄えている電子決済サービスと言われているので、この資金が突然ショートすることは考えられません。
この企業がなくなるとか、何らかの問題を起こしてデフォルトを起こすことは、それこそ中国経済の終わりを意味します。
まだまだもう少しハイグレードな資産運用がありますので、それは次回に説明していこうと思います。