中国で駐在員

30代男、未婚、2016年から中国駐在(企業派遣)

中国人の給料について真剣に考察してみる

中国広州で駐在3年目のカンクローです。

 

今回は、駐在員の周りにいる「中国人現地社員」にフォーカスしてみたいと思います。

着眼点は、「給料」です。客観的なデータを多く示していきたいと思います。中国で働こうかなと思っている方や、中国に興味のある方などのご参考になればと思います。

 

前置き(情報源について)

広州市政府が毎年発表している「2018年、広州市の人材市場における目安給与水準及び2017年の各企業労働コストに関する情報(广州市2018年人力资源市场工资指导价位及2017年企业人工成本信息)」というのを参考にしながら、話を進めていきたいと思います。

ちなみに、データはこのリンクから直接「広州市政府」のHPにアクセスできます。

http://www.gz.gov.cn/gzgov/gsgg/201811/0d7f098e90ea4ff49bf80c5ec6229313.shtml

 

都市部の中国人サラリーマンの月給は「7,000元(=約10万円強)」

非常にざっくりとした数値ですが、上記のような統計データや、身の回りの中国人サラリーマン等から聞き取った情報をもとにすると、広州市内にいる中国人サラリーマンの給料は、「7,000元(=約10万円強)」を一つの基準と考えられます。

 

ただ、中国は欧米資本主義国もびっくりなほど、世界でもまれにみる格差社会を形成していますので、以下にいろんな情報を付け加えていきます。

 

イメージとしては、広州市の人々にとっての「月給7,000万元」というのは、日本人でいうところの「月給30万円」みたいな感じです。

 

広州市の個人の平均所得は中国全土で第二位

首都北京や、大都会上海を差し置いて、実は広州市の一人当たりGDPは中国で第2位です。ちなみに、第1位はお隣さん「深セン市」です。

そんな、お金持ち都市広州の人々の給与水準を見てみると、以下のようなデータが示されています。(年収を12で割って月収にしています。)

①が中間値(平均的な人)、②が第3四分位数(上位25%=比較的エリート)です。

銀行員・・・①3,942元、②4,731元

国営企業・・・①5,276元、②8,625元

大手メーカー・・・①5,394元、②7,967元

電力事業・・・①7,311元、②8,175元

システムエンジニア・・・①10,096元、②13,367元

不動産関係社員・・・①·4,172元、②6,400元

 

データはいろんな業種やポスト、規模で分類されていますので、上記の数字はあくまで目安としてください。

 

より客観性を確保するため中間値、第3四分位数の二つを載せてみました。平均~ちょっとエリート(もしくは年次が高い)くらいの層の給料でこれくらいです。

 

IT、国営企業系が高め

データが多いので、ざっくりとしたことしか言えませんが、IT業界や国営企業の給料が高めのようです。

高いとは言っても、上位25%のシステムエンジニアで、大体13,000元ですから、日本円で月20万円程度ということになります。

 

国営企業では、上位25%の人々で8,600元=約13万円程度です。

 

私の周囲で普通にサラリーマンをしている友達等に聞いても、これらは納得できる数字であると言います。

 

実力よりも学歴が評価される社会

大学院卒、大学卒、高卒などで給料のばらつきが激しいです。日本では、大学院卒の就職は不利(特に文系)だという考えがありますし、就業経験のない30歳博士などは、企業から敬遠されるでしょう。

他方で、中国では、その分野の実力や実務経験があろうとなかろうと、博士・修士は学部卒より優秀、有能、そして学部卒は高卒より有能、と単純なレベル設定があります。

 

たとえば、大学院卒、勤務4~5年の人の目安給料は、中央値で1万元、第3四分位数値で13,000元となっています。大卒だとそれが、6,000元と8,400元です。

 

私は日本企業にいますから日本的な考えで就業や給与水準を考えてしまいます。大学院で経済を勉強したから会社で能力が高いとも思いません。ですが、中国では、アウトプットが優れているかはともかく、大学院を出ていれば、就職後の給料は上がるようです。

 

7,000元を境に、多いか少ないかで判断してみるとわかりやすい

上で僕は、広州市内にいる中国人サラリーマンの給料は、「7,000元(=約10万円強)」を一つの基準としていいと思う、と書きました。それは日本で言えば「月30万円」ほど、とも書きました。

 

上に書いたデータが示すように、月7,000元を超す優秀な人もいれば、その3分の2くらいで甘んじている人もいます。これはちょうど、日本で月収30万にとどかないひともいれば、大手企業などで40万、50万を稼ぐ人もいる、というそんなイメージかな、と思った次第です。

 

優秀な人なら、月50万、年収が800万円とか1000万円というのは、そこまでおどろくような額じゃありません。

 

広州でもそうです。月に1万元、すごい人なら2万元もらうエリートもいます。ですが、かなりハイランクな人材と言えるでしょう。

 

そもそも金持ちは労働者ではない

補足ですが、上記は中国で経済規模第4位、一人当たり所得第2位の都市である広州市に限定した数値です。したがって、それぞれの数値は上海や北京等の主要都市よりも高いことになります。

 

ごく普通の中国人が会社勤めをしてどれくらいお金を稼げるか、お判りいただけたでしょうか。

 

案外、大したことないと思われると思います。

それもそのはず、日本に来て爆買いをする中国人や、いわゆる「金持ち」中国人たちは、そもそもサラリーマンではありません。彼らは、資本家であり、不動産成金です。

 

日本に来ている中国人たちを、上記のような所得の人たちだと思ってはいけません。「中国に中間層が増えて」という言葉も盛んに言われますが、ちょっと視点がずれていて、日本に来る「中間層」というのは、サラリーマン勤めの人々の上位10~20%程度と考えると、わかりやすいでしょう。つまり、「お金持ち」なんです。