中国で駐在員

30代男、未婚、2016年から中国駐在(企業派遣)

東京五輪の次は北京五輪―微妙な政治的背景事情―

中国駐在4年目のカンクローです。

 

僕は、中国で日本のテレビが見られるようネットテレビ会社と契約しているので、日本のテレビニュースやアニメをよく見ます。

 

朝の情報番組とか、日本の方がよくまとまっていて、元気になりますしね。その辺、日本のサービス精神の高さを感じます。テレビ番組作る人も、細部まで工夫を凝らすのに大変なんだろうなと思います。

 

さて、今週のニュースで話題になった、日本オリンピック組織委員会会長人事、ですが、私としては「そもそも東京オリンピックパラリンピックできるの?」という問題が気になります。

いろんな背景事情が絡んでくるんだと思いますが、中国からみた今の東京オリンピックに対する期待感ということを交えて、お伝えしたいと思います。

 

東京五輪が中止になると困る中国

東京五輪がコロナのために中止を余儀なくされる場合、次に控える世界的大イベントは2022年1月~2月頃を予定する北京冬季オリンピックです。

 

東京オリンピックが中止になるかどうかは正直まだわかりませんが、実施するにしても、中止にするにしても、中国は割と緊張した面持ちでこの決定を眺めるはずです。

 

東京オリンピックをやる場合、その半年後に北京オリンピックを控えている中国としては、コロナ感染を心配することなどを理由にクレームをつけることはできないでしょう。仮に中国が「世界ではまだコロナが流行し、感染対策のため選手を派遣できない」なんてことを言えば、半年後の北京オリンピックにも各国から同様の指摘が出る大義名分を与えてしまうからです。

 

中国国内の感染対策は完璧と言えるほどに行われています。14億いるともいわれる人口の中で、発表されている感染者は一日多くて数十名です。中国の威信にかけても、北京オリンピックは成功させなければならないイベントです。

 

他方で、中国一国だけでは、オリンピックはできないのです。東京オリンピックが中止になる場合、中国はその半年後に北京でオリンピックをやることの是非が議論になるでしょう。世界各国から、それも感染が広まりやすくなる季節である真冬に、多くの人間を招き入れることができるのか。それによって感染がある程度拡大することになれば、目も当てられません。

東京オリンピックをやるかどうか、という議論は、中国人にとってはある意味、北京オリンピックをやるのか、という議論と同じ土俵で行われている部分があります。

 

東京五輪スケープゴート

中国としては、東京オリンピックスケープゴートにしたいという考えがあるはずです。

 

「東京もやったのだから、北京もやる。」

 

こういう言い方が可能になることが、中国にとっては一番気楽なはずです。そのため中国社会の人々は比較的、東京オリンピックの開催に期待している部分があります。

 

もちろん、政府の上層部では、二階さんや森さん等を通じて中国側から入ってくる「実施すべき」とのメッセージに踊らされているはずです。

 

一般の日本国民からしてみれば、来年冬に北京の冬季五輪をやるかどうかなんて、ほんっとうにどうでもいいことなのですが、ただ、中国に「やれ」と圧力をかけられると、立場の弱い人は、結構日本の上層部に多いのだと思います。政治だけでなくビジネス面でも、なんとなく想像がつきます。