中国で駐在員

30代男、未婚、2016年から中国駐在(企業派遣)

モノからもコロナ感染?―完全制圧後にわかる新たな感染経路―

中国で駐在5年目のカンクローです。

 

前回の記事では、中国のコロナ感染対策は「完全制圧」のところまで来ていると書きました。

 【2021年4月】中国国内のコロナ状況―感染対策大成功の一人勝ち状態― - 中国で駐在員

 

中国国内では、2020年の6月くらいから街中にコロナ感染者がほとんどいない状態が続いています。つまり、2020年1月に武漢市の感染状況が大騒ぎになり、都市封鎖までしたのち、たった数か月後には各都市がほぼ平常通りに戻っていました。

 

海外からの輸入症例を正確に補足し始める

その後、中国各地で上海市、大連市、深セン市と、海外からの直行便が再開するにつれて、海外渡航者による感染(輸入症例)が目立ち始めました。

 

これは、中国が海外からの入国者に厳格に隔離措置を取っていることが大きく関係していると思われます。

 

現在に至るまで、海外から中国に入国する方は、陸路も含めて、すべて3週間の指定ホテル隔離になります。中国で飛行機から降りた旅客たちは、防護服を着た医療関係者らに誘導され、専用バスに載せられ、専用ホテルに送られ、21日間の間全く外にも出られない状態になります。

 

21日間の間には、PCR検査を5回以上受けるとか、血液を採取して抗体検査も数回行うようです。費用はすべて渡航者の自腹になります。

 

ここまでして、感染していないことがわかれば、街中に出ていいということになるわけです。この徹底ぶり、共産党関係者や、中央政府の幹部たちも例外ではないそうですから、見習いたいものです。

 

それでも時々現れた街中の新症例

どこにも死角のないと思われていた中国の人間徹底管理作戦のさなか、2020年11月頃には、謎の市中感染が発生し始めます。

 

みなが「どこから来た誰による感染なのか」と騒いだ時期もありましたが、衛生当局者がつきとめたのは、なんと海外から輸入されてきた「冷凍食品」や「アイスクリーム」、「冷凍サーモン」などだったそうです。

 

人の移動を完全に制限した後に、新たに明らかになった感染ルートなわけですが、中国政府の対応がすごいのは、モノに対するPCR検査や、冷凍モノを扱う物流関係者に集中的にワクチン接種などを行い始め、そこの流入も完全にシャットアウトしようとしているところです。

 

冷やかにあざ笑うことしかできない日本

「冷凍食品からコロナが検出」というニュースは日本でも報道されましたが、コメント欄には

「人の次はモノかよ!本当にどうしようもないな中国は!」とか、

「いたるところで汚染されている中国(笑)」

などの中国の現状をバカにする発言が並んでいました。

 

でも、お判りいただけると思いますが、中国のこの状況って全然意味が違うんですよね。

 

中国では、人間経由の感染がほぼゼロにまで抑え込まれたからこそ、次は果たしてどこからきているんだ?という追跡が可能になっていると言うことなんです。

 

「コロナはモノも媒介にする」という問題は、一日に何百人、何千人も、感染者が出ている社会では、到底発見するとか、問題意識を持つことすらできないだけだと思われます。

 

100人感染している人が発見された社会では、その100人が歩いてきた経路、交通手段、職場などあらゆる場所に感染の可能性が潜んでいて、追跡どころではないというのが現状でしょう。

 

「中国はモノからも感染経路があることを知り、そこも抑えにかかっている」これは、明らかに前進です。

 

とともに、大阪や東京などでまだまだ市中の新規感染者が増えている日本の現状が、この中国水準からいかに遅れてしまっているかわかりますね。

 

未だに、役人自身が厳格な行動制限や自粛ができず、クラスターを作り出してしまった利しています。オリンピックも近づいてきましたし、ほんと、どうなるんでしょう。